きみだけに、この歌を歌うよ
「どういうこと…?意味がわかんない…」
「俺……菜々が杏里にイジメられてたこと、ずっと前から知ってたんだ」
「……えっ」
それは、私にとっては衝撃的な言葉だった。
愁と付き合っていた1年間。
となりのクラスだった杏里ちゃんに、私はイジメられていた。
『あんたが愁の彼女…?』
『あ……うん!はじめまして、琴野菜々ですっ』
杏里ちゃんに休み時間の廊下ではじめて声をかけられたとき、私は嬉しかった。
私にとって杏里ちゃんという存在は、可愛くて性格も明るくて、男女ともに友達がたくさんいて…。
憧れの存在だったから。