きみだけに、この歌を歌うよ
「ほんとに……愁は勝手だよ」
私のためを思って私から離れた?
違う。
そんなのぜんぜん嬉しくない。
愁は私のことをなにもわかってない。
イジメられていても、それでも愁のとなりに居続けた私の気持ちをわかってない。
「ごめん……。本当にごめん…」
ぼろぼろ涙を流しながら、愁の胸板をドン、と強く押して突き飛ばした。
「愁のバカ!愁なんて大っ嫌い!」
悲しそうな顔の愁にさっと背を向けて、その場から逃げだした。