きみだけに、この歌を歌うよ




自分の部屋に戻っても、涙は一向に止まなかった。



ようやく愁への気持ちが薄れてきたと思っていたのに。

なんで、戻ってきて欲しいだなんていうの?

愁のことはもう忘れる。

私は九条くんのことが好き。



そう思っていたのに。



愁と九条くんの間で、気持ちがぐらぐら揺れ動いてる。

私は本当は、誰のとなりにいたいんだろう。

愁に抱きしめられたことで、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまった。



愁にはまだ怒っている。

きっと、この怒りはなかなか消えそうもない。

だけど、また抱きしめてもらえて嬉しく思う自分もいて…。



いまはなにも、考えたくない。



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