きみだけに、この歌を歌うよ
九条くんと一緒に登校することは……もちろん、嫌じゃない。
周りを歩く女の子たちにじろじろ見られたり、廊下ですれ違いざまにイヤミを言われたりするけれど。
でも九条くんは、『俺が守るよ』って言葉をちゃんと守ってくれている。
だから私に鋭い視線が集まっていることに気がつけば。
『なんで菜々を睨んでんの?そういう陰険なの、すげぇ不愉快だしウザイんだけど』
そうやって、女の子たちにはっきりと言ってくれたことがあった。