きみだけに、この歌を歌うよ
九条くんのことをぼんやりと考えながら、梓のとなりで下履に履き替えていると。
「おいっ、琴野菜々!話があるんだけど!」
怒りの色を含む甲高い声が、靴箱の前から離れようとした私を後ろから呼び止めた。
……杏里ちゃんと、そのとなりには優乃ちゃん。
そして同じクラスのほのりちゃんも一緒だ。
みんな揃って私を睨んでいる。
「ちょっとちょっと…。そんなに怖い顔してどうしたの?」
「梓ちゃんに用はないの。琴野さん、ちょっと校舎裏にきてくれる?」