きみだけに、この歌を歌うよ
杏里ちゃんが怒ってる。
理由はだいたい察しがつく。
昨日の放課後、靴箱で愁にフラレた件だろう。
きっと私のせいだとかって言いたいんだろう。
「わかった……行くよ」
本当は行きたくない。
傷つくようなことを、たくさん言われるのはわかっているから。
「だったら私も行く!杏里ちゃんだって優乃ちゃんとほのりちゃんがいるんだから、行ってもいいでしょ?」
梓はいつもこうやって、私のことを守ろうとしてくれる。
それがいつも嬉しいんだ。