きみだけに、この歌を歌うよ
ひとけのない、暗い校舎裏についた。
「あんた……愁になにか言ったりした?昨日告ったら、俺は菜々が好きだからってフラレたんだけど!」
ほら……やっぱり。
思っていたとおりの言葉だ。
予想通りだったから、驚きもしないし怖いとも思わなかった。
「知らないよ。別れてから話してもないし目すら合わせてないんだから」
「嘘つくな!ぜったいに裏で私と愁がくっつかないように邪魔してるんでしょ!」
「私は邪魔なんてそんなことしないよ」
私を見つめる杏里ちゃんの目が鋭い。
なにを言っても私が悪者ってことは変わらないみたいだ。