きみだけに、この歌を歌うよ



「邪魔してるじゃん!私からすれば、あんたの存在じたいが邪魔なんだよ!あんたさえいなければ、私が愁の彼女になれてたのよ!」



あんたさえいなければ。

そのセリフを杏里ちゃんの口から聞いたのは、もう何回目だろう。

杏里ちゃんがいうには、愁は初恋の人らしい。

小学生のころから今まで、ずっと好きで好きでたまらなかったって。



それなのに、高校生になって愁には私という彼女ができてしまった。

これまで誰とも付き合おうとしなかった愁が、なぜか私みたいな平凡な子を選んだ。

それは、もう何度も聞かされた話しだ。



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