きみだけに、この歌を歌うよ
いつも言いたい放題に言われっぱなし。
泣きそうな顔をして俯いて、早く終われって願うことしかできなかった。
そんな私が、はじめて杏里ちゃんのことを睨んだ。
向き合わなきゃ前に進めない。
九条くんの言葉が、杏里ちゃんと真正面からぶつかる勇気を与えてくれたんだ。
「……邪魔なのは杏里ちゃんの方でしょ。杏里ちゃんが私と愁を別れさせたんでしょ!」
「はぁ?なんのこと?そんなこと知らないし」
「しらばっくれないでよ!愁に、私と別れたらイジメはやめるって言ったんでしょ!」
杏里ちゃんは誰からそれを聞いたんだ、とばかりに眉間にシワを寄せていたけれど。
すぐに愁から聞いた、とわかったみたいだ。