きみだけに、この歌を歌うよ
「おいっ!なにやってんだよ!」
ひとけのない校舎裏に怒声が響いた。
私と杏里ちゃん以外の誰もくるはずがないと思っていた場所に、息を切らせながら現れたのは…。
「えっ……愁!?なんでここに!?」
愁だった。
「おい杏里!そういうことはやめろって昨日も言っただろうが!」
愁は私には目もくれず、怒りを隠しきれない様子で杏里ちゃんに詰めよる。
「ちょっ……なんで?なんで愁がここに来るのよ!?」
「梓ちゃんから聞いたんだよ!」