きみだけに、この歌を歌うよ




「お前が菜々に嫌がらせをするたびに、俺はお前を嫌いになる。だからこれから先も、お前とは一生付き合わない」

「なによっ……なによ、なによ!愁のせいだって言ってんじゃん!バカ!私は私を見てほしいだけだもん!」



杏里ちゃんはぼろぼろ涙を流していた。

本当に、愁のことが好きなんだな。

その涙から、愁を想う気持ちがひしひしと伝わってくる。



胸がキリキリしはじめた。

杏里ちゃんの気持ちはよくわかる。

私を見てほしいのに、どうして見てくれないのっていう寂しい気持ち。



少しまえの私も、愁に対して杏里ちゃんと同じ感情を抱いていたから。

痛いほどわかる。



< 384 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop