きみだけに、この歌を歌うよ
「お前が菜々に嫌がらせをするたびに、俺はお前を嫌いになる。だからこれから先も、お前とは一生付き合わない」
「なによっ……なによ、なによ!愁のせいだって言ってんじゃん!バカ!私は私を見てほしいだけだもん!」
杏里ちゃんはぼろぼろ涙を流していた。
本当に、愁のことが好きなんだな。
その涙から、愁を想う気持ちがひしひしと伝わってくる。
胸がキリキリしはじめた。
杏里ちゃんの気持ちはよくわかる。
私を見てほしいのに、どうして見てくれないのっていう寂しい気持ち。
少しまえの私も、愁に対して杏里ちゃんと同じ感情を抱いていたから。
痛いほどわかる。