きみだけに、この歌を歌うよ




「お前が菜々をイジメるってんなら、俺は全力で菜々を守るからな。力ずくでもお前を止めてやる」

「もういいよっ!あんたなんか大っ嫌い!」



愁は泣きながら走っていく杏里ちゃんを追いかけなかった。

小さくなっていく杏里ちゃんの後ろ姿が視界から消えると、私に優しく声をかけてきた。



「俺も……九条には負けてらんねぇって思ってな」

「……え?」

「ちょっとまえにアイツと菜々が、一緒に登校してるところを見たんだ。そのときにアイツが、女子にブチキレてる瞬間を見てさ」



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