きみだけに、この歌を歌うよ
「えぇっ?知らないのー?仲良いのにぃ!?」
そう言って目をまん丸くさせた優乃ちゃんは、どこか嬉しそうだ。
「あはは。仲良いように見えて、実はそんなことないんだね〜?案外、薄っぺらい関係なのかな?優乃の方が九条くんと仲良いみたいだねっ」
私のすぐ後ろの席からは、そんな杏里ちゃんの楽しげな笑い声がする。
杏里ちゃんは少し前までは私と九条くんが付き合えばいい、だなんて言って愁を諦めさせようとしていたくせに。
優乃ちゃんが九条くんのことが好き、と知った途端にこれだ。
私と九条くんが不釣り合いだとか。
優乃ちゃんと九条くんの方がお似合い、だとかって言ってくる。
優乃ちゃんと九条くんが仲良くなれるよう、何かと手助けもしているみたい。