きみだけに、この歌を歌うよ



「えぇっ?知らないのー?仲良いのにぃ!?」



そう言って目をまん丸くさせた優乃ちゃんは、どこか嬉しそうだ。



「あはは。仲良いように見えて、実はそんなことないんだね〜?案外、薄っぺらい関係なのかな?優乃の方が九条くんと仲良いみたいだねっ」



私のすぐ後ろの席からは、そんな杏里ちゃんの楽しげな笑い声がする。

杏里ちゃんは少し前までは私と九条くんが付き合えばいい、だなんて言って愁を諦めさせようとしていたくせに。

優乃ちゃんが九条くんのことが好き、と知った途端にこれだ。



私と九条くんが不釣り合いだとか。

優乃ちゃんと九条くんの方がお似合い、だとかって言ってくる。

優乃ちゃんと九条くんが仲良くなれるよう、何かと手助けもしているみたい。



< 407 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop