きみだけに、この歌を歌うよ




「え……お葬式?そうだったんだ……。ごめんね、観光?なんか言って…」



私ってば、なんて無神経なことを…。

キャッキャとはしゃぎながら、観光?なんて聞いてしまった自分を、殴ってやりたい。



「いいよ、別に。そのくらい明るく笑ってくれてた方が、元気がでるから」



九条くんは優しく微笑みかけてくれた。

だけど、私の目には元気がないように見えた。

こんな悲しそうな目をしている九条くんは、はじめて見た。

その亡くなってしまった人というのは、九条くんにとって本当に大切な人だったんだろう。



< 414 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop