きみだけに、この歌を歌うよ
「そうだなぁ……気が向いたら行くよ」
「私っ、待ってるから!九条くんの家の前で待ってるからね!」
我ながら……大胆なセリフだ。
だけどこうやって会う約束をとりつけなければいけないと思ってしまった。
きっと、このまま学校に来なくなってしまうんじゃないかって。
いまの九条くんを見ていると、なんとなくそんな気がした。
「だから明日はちゃんと来てね?約束だよ!」
九条くんは無表情のまま、頷くことも首を横にふることもなく。
なにも言わずに背を向けると、私の前から離れていった。