きみだけに、この歌を歌うよ
その翌日。
ドキドキしながら九条くんの家の前に立った。
本当に来てくれるのかな…。
もしかしたらこのまま待っていても、来てくれないかもしれない。
不安を巡らせていると、3メートル先の黒い玄関ドアがガチャリとあいた。
「あっ、九条くん!おはよーっ!」
よかった……ちゃんと来てくれた。
「おぅ」
だけどやっぱり、いつもと様子が違う。
もともと口数が多いタイプではないけれど、今日は特に少なく感じた。