きみだけに、この歌を歌うよ
「ちょっとぉ、心優くんっ!なんで私のライン返してくれないのよぉ!」
九条くんと一緒に教室に入ると、優乃ちゃんがバタバタと駆け寄ってきた。
「あー……ごめんごめん。いろいろと忙しかったから」
「あれっ、その声どうしたの?風邪でもひいた?」
「うん、まぁそんなとこ」
九条くん、優乃ちゃんには発声障害になってしまったことは言わないのか。
「風邪で寝込んでたのか?」
するとこんどは、同じクラスの伊崎壮士(いざきそうし)くんが九条くんの肩を叩いた。
伊崎くんは派手な金髪、授業はサボるし遅刻の常習犯のヤンキーだ。