きみだけに、この歌を歌うよ
今日も朝から1日中雨だ。
梅雨まっただ中で、もう3日も降り止まない雨が私の気分を暗くさせる。
「どうしたの〜、菜々?さっきからため息多すぎない?」
「え、そう…?」
いまは学校帰りに梓の部屋によって、ふたり揃って少女マンガを読み漁っている最中。
ときは1週間まえのこと。
九条くんに言われた冷たい『ごめん』が、まだ頭から離れないでいた。
「前に話してくれた、九条くんのことでしょ?」
梓には、1週間まえの休み時間に話しておいた。
九条くんの身におきたことや、歌えなくなってしまったこと。
私の気持ちも、親友の梓にだけは相談をしていた。