きみだけに、この歌を歌うよ
「それにしてもさぁ、私のために歌って?ってさ、菜々もすごいこと言ったよねぇ」
「だってっ……!それはまた歌ってほしくて、ほんとに必死だったんだもん…」
梓に、ぜったい菜々の気持ち気付かれてるよねって笑われて、恥ずかしくなった。
「で、愁くんとはどうするの?」
「……どうしよう」
海でキスをされたあの日から、愁とは話していない。
すぐ後ろの席なのに、目も合わせてない。
私と愁の間に、気まずい空気が流れていることがわかる。
「このままでいいの?」
「それは……」