きみだけに、この歌を歌うよ
「そんなの行くよぉ…」
行くに決まってる。
アウトレットモールの広場でライブするって聞いた瞬間から、3ヶ月まえから行くつもりだったのだから。
「行くに決まってるよぉ!雨だろうが雷だろうが、槍が降っていようが行くよ」
「いや……さすがに、雨天は中止なんだけど…」
「もうっ、そんなのものの例えでしょ!とにかく行くったら行くのっ!」
プクっと頬を膨らませて言い返すと、九条くんは笑い声をあげた。
「そっか、なら良かった。菜々のために歌うつもりでいたから」