きみだけに、この歌を歌うよ
お風呂上がりの濡れた髪をタオルで拭きながら、私は熱を帯びた顔をうつ向けた。
「もう……恥ずかしいぃ…」
「九条くんと屋上庭園でふたりきりで花火見たんだぁ。最高のシュチュエーションじゃん!菜々もついに告白したんだねぇ」
ん……告白?
そう言われれば……告白とはちょっと違うような。
「いや、告白じゃないよ?好きってことは言ってないし…」
「え?言ってないの?行かないで、まで言っておいて?」
「うん……。それはまだ勇気がないかなぁ。へへ…」
「で?で?どうだったの?行かないよ、とか菜々のそばにいるよ、とか言われたのぉ?」