きみだけに、この歌を歌うよ




急に上半身を起こした梓は、ニヤニヤ笑いながら私を見てくる。



「そういえば……私、九条くんからなんにも言われてない」



行かないよ、とか菜々のそばにいるよ、とか。

そんなことはもちろん言われてないし、ありがとうですら言われてない。



「えぇーっ、マジ?それさぁ、フラレちゃったってこと?」

「フラレた!?そうなのかなぁ……?どうだろう…」



そういうことなのだとするなら、ショックだなぁ…。



「でも、私のために歌うからイベントにきてっていうのは言われたけど…」



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