きみだけに、この歌を歌うよ
だけどご近所さんを経由して、愁に私がバカヤローって言ってたよ、なんて伝わる心配はないからきっと大丈夫だろう。
近辺の住宅には、同じ高校に通っている人はいないのだから。
愁と接点がある人はいない。
それに、九条くんも今日は歌の練習に来てないみたい。
そのあたりもしっかりと確認はしておいた。
バッチリだ。
「はぁ……もうやだよぉ…。なんでこうなっちゃうの?」
足元に落ちていた小石をひとつ拾いあげて、海にむかって投げつけるとその場に座りこんだ。