きみだけに、この歌を歌うよ




「まーたやってんの?その、シュウのバカってやつ」

「うわぁっ……びっくりしたぁっ!」



砂利を踏みしめる音と同時に、九条くんの声が後ろから聞こえてきた。



「なっ……えっ、九条くん!?なんで?まさか聞いてたの⁉」



なんで私はこうも簡単に、背後に立たれてしまうんだろう…。

足音にまるで気づかない自分が、自分で嫌になる…。



それにしても、叫び声を聞かれてただなんておかしい話しだ。



「ちょっと待って……。まさか、瞬間移動できるの?」



私が叫んだときには、遠くにも九条くんの姿はなかったんだもん。

瞬間移動したとしか思えない。



< 65 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop