きみだけに、この歌を歌うよ
「まーたやってんの?その、シュウのバカってやつ」
「うわぁっ……びっくりしたぁっ!」
砂利を踏みしめる音と同時に、九条くんの声が後ろから聞こえてきた。
「なっ……えっ、九条くん!?なんで?まさか聞いてたの⁉」
なんで私はこうも簡単に、背後に立たれてしまうんだろう…。
足音にまるで気づかない自分が、自分で嫌になる…。
それにしても、叫び声を聞かれてただなんておかしい話しだ。
「ちょっと待って……。まさか、瞬間移動できるの?」
私が叫んだときには、遠くにも九条くんの姿はなかったんだもん。
瞬間移動したとしか思えない。