オオカミ彼氏
何たって、オオカミですから
「…日向くんが心配だな」
「そうよね…。でも、イノシシの声が聞こえなくなったわよね?」
桜庭くんに任せてと言われて、2階に上がってからもう10分が経とうとしていた。
さっきまで聞こえていたイノシシの鳴き声や突進音は消え、辺りを静寂が包んでいる。
どうやら桜庭くんは、私たちをイノシシから守ってくれたようだ。
でもーーー
「それにしても、日向くんが来ないな」
そう、桜庭くんが外から帰ってこないのだ。
私はいても立ってもいられなくなった。
「私、ちょっと表見てくる!」
「ちょっと待ちなさい!もしかしたらまだいるかもしれないのよ!?」
お母さんの制止を振り切って、私は1階へと降りた。
そして勢いよくドアを開ける。