オオカミ彼氏
私の足元で人間の姿に変わった桜庭くんは、やっぱりどこか浮世離れしているような端正な顔立ちをしている。
「……ここ、切れてる」
さっきは前足で払われちゃったけど、めげずに口元へタオルを伸ばす。
すると、
「わっ!!!」
口元へ伸ばした腕を桜庭くんに掴まれ、急に引き寄せられた。
ドサッ…
思わず彼の膝の上に乗っかる形になってしまう。
「ちょ、ちょっと、桜庭くんっ…」
「……すき」
「……っ!!!」
やめて、と言おうとして桜庭くんを見上げたのに。
綺麗な顔をして、そんなことを言ってくるものだから、私の身体は急に暑くなった。
「…お家、入るよ」
恥ずかしすぎてどうにかなりそうなのが怖くて、私は逃げるようにして桜庭くんの膝の上から体を起こした。