オオカミ彼氏
授業も終わり、私は帰る支度をして、さっさと教室を出た。
学校からはそう遠く離れてない場所に家があるのだが…
なんか、後ろから視線を感じる。
…もしかして、不審者！？
怖くなって少し小走りで家に向かう。
急いで中に入ろうとして、ドアノブに手をかけた瞬間ーーー
｢待って！｣
後から息を切らした声が聞こえた。
振り返るとそこには桜庭くんが立っていた。
｢…な、なに？｣
恐る恐る訊ねる。
すると彼は、真剣な顔でこう言ったのだ。
｢俺は、あの時助けてもらったオオカミです｣
一瞬、思考が停止した。
彼は何を言っているのか。
