君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
藍の視線を感じながら、由真はパーティ会場内を見回した。
このような集まりは初めてだったが、ごく普通の初対面の集まりのように思える。もっと個人を秘すような形で、番号でやりとりをするとか、車座になって、定刻が過ぎたら席を移動するといったルールも特に明示されていない。
しかし、多くは単独では無く、友人と誘い合って来ているのか、二名対二名や、三名対三名といったように、同時多発合コンのようにも見えた。
由真や、さきほどやってきた緩嫁のように、一人で参加している者は少ない。というか、見れば、単独行動をしているのは由真と緩嫁だけのようだ。
あらかじめ誘い合って来ているのでは無く、話の流れで数名対数名になっている可能性はあったが、女が一人、というのは、見たところ由真と、見える範囲にはいない緩嫁だけだ。
彼女は、どこへ行ったのだろう。正しくは、トーリと共に姿を消した緩嫁は、今、どこにいるのだろう。
「代ヶ根さん、一緒にいた寺田さんの姿が見えないようなんですが、見える範囲以外に会場はあるんでしょうか」
唐突に由真が緩嫁の事を心配した様子を見せたので、藍は少し意外そうに尋ねた。
「さあ、私の知る限り会場はここだけです、……庭の方へ行ったのかもしれませんね」
そう行って藍は視線を庭へ移した。和風庭園を望むホテルのバンケットルームは、テラス席からそのまま庭へ出る事も可能だ。
しかし、先ほど、トーリは緩嫁を伴って室内の方へ歩いて行ったのでは無いだろうか。
バンケットルームを出て、ロビー経由で庭に出ることも可能ではある。しかし、それならば、テラス席の近くを通るのではないだろうか。
由真は、藍の方に意識がいってはいたが、庭を緩嫁が通れば気づいただろう。
魔獣の核になった女性は、この、『カオス・ウェディング・パーティ』に『一人で』参加したいたという話ではなかっただろうか。
「代ヶ根さんと、寺田さんは、今回初めて参加されたんですか?」
「おかしな事を聞きますね、恥ずかしながら三回目です、なかなか気の合う方に巡り会えなくて」
そんな風に言う藍は少しも残念そうでも、恥ずかしそうでも無かった。
「けれど、今回はあなたに会えました。……私は、あなたに興味を持っています、こんな事は初めてです」
そう言いながらも、藍の瞳はひどく冷ややかで、昏い。
夜の海か、深い湖のように、ないで、底知れない様子だ。
由真は、藍の瞳に恐怖を覚えながらも、どうしようもないほどに惹かれている自分にも気づいた。
このような集まりは初めてだったが、ごく普通の初対面の集まりのように思える。もっと個人を秘すような形で、番号でやりとりをするとか、車座になって、定刻が過ぎたら席を移動するといったルールも特に明示されていない。
しかし、多くは単独では無く、友人と誘い合って来ているのか、二名対二名や、三名対三名といったように、同時多発合コンのようにも見えた。
由真や、さきほどやってきた緩嫁のように、一人で参加している者は少ない。というか、見れば、単独行動をしているのは由真と緩嫁だけのようだ。
あらかじめ誘い合って来ているのでは無く、話の流れで数名対数名になっている可能性はあったが、女が一人、というのは、見たところ由真と、見える範囲にはいない緩嫁だけだ。
彼女は、どこへ行ったのだろう。正しくは、トーリと共に姿を消した緩嫁は、今、どこにいるのだろう。
「代ヶ根さん、一緒にいた寺田さんの姿が見えないようなんですが、見える範囲以外に会場はあるんでしょうか」
唐突に由真が緩嫁の事を心配した様子を見せたので、藍は少し意外そうに尋ねた。
「さあ、私の知る限り会場はここだけです、……庭の方へ行ったのかもしれませんね」
そう行って藍は視線を庭へ移した。和風庭園を望むホテルのバンケットルームは、テラス席からそのまま庭へ出る事も可能だ。
しかし、先ほど、トーリは緩嫁を伴って室内の方へ歩いて行ったのでは無いだろうか。
バンケットルームを出て、ロビー経由で庭に出ることも可能ではある。しかし、それならば、テラス席の近くを通るのではないだろうか。
由真は、藍の方に意識がいってはいたが、庭を緩嫁が通れば気づいただろう。
魔獣の核になった女性は、この、『カオス・ウェディング・パーティ』に『一人で』参加したいたという話ではなかっただろうか。
「代ヶ根さんと、寺田さんは、今回初めて参加されたんですか?」
「おかしな事を聞きますね、恥ずかしながら三回目です、なかなか気の合う方に巡り会えなくて」
そんな風に言う藍は少しも残念そうでも、恥ずかしそうでも無かった。
「けれど、今回はあなたに会えました。……私は、あなたに興味を持っています、こんな事は初めてです」
そう言いながらも、藍の瞳はひどく冷ややかで、昏い。
夜の海か、深い湖のように、ないで、底知れない様子だ。
由真は、藍の瞳に恐怖を覚えながらも、どうしようもないほどに惹かれている自分にも気づいた。