君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
敵の正体は?
 既に事が終わってからやってきた仲間達と共に、由真は一旦KISTへ戻った。

「やはり緩嫁フミエという女性は、帰宅していないようです」

 確認した征治の言葉だった。

「でも、男性と一緒だったんだろ? いい大人みたいだし、その……ねえ」

 礼門がする下世話な指摘を由真が一蹴した。

「でも、完全に魔獣化する前の繭の中にいたのは確かに彼女だった」

 目撃証言は何より強い。それに、緩嫁以外の参加者は全員消息が確認できている。

「魔獣化した彼女を連れ去ったのは誰なんだろうね」

 蘇芳は、由真の話にあった甲冑の(多分)男を気にしているようだった。

「最近魔獣の出現が頻発しているという事と、無関係では無さそうですね」

 素子も同様に指摘する。

 由真は、トーリと藍の事を語るべきか迷っていた。
 トーリの事については、緩嫁と共に姿を消したという事もあり、説明したが、藍については言えずにいた。

 黙っているべきでは無いという事は、よくわかっている。しかし、言い出せなかった。

「けど、現状は、もう、動きようがないね、魔獣の活動を確認しつつ、待機シフトにしておこう、今夜は僕が入るから、一旦皆は戻って、連絡に備えておいて」

 礼門の言葉に、皆一旦帰宅する事になった。
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