君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
魔獣を倒せ!
「聖獣召喚っ! い出よ、北神、聖獣玄武!」
もう、『恥ずかしい』という感覚はだいぶ麻痺してきているけれど、人前でコレを言うのはまだ無理だな、と、思いながら、黛由真(まゆずみ ゆま)は目の前に現れた自分の相棒、玄武に触れた。
幼い頃から、由真は玄武の姿が見えていた。それが、いつの間にか母から譲られた『聖獣』という存在で、聖獣の守護をもつものは、必然的に魔獣との戦いに身を投じなくてはならない事を知った。
玄武、幼い頃は名前を知らず、その姿から『亀次郎』と名付けた玄武が、実はメスだったという事も、どうでもいいと思っていたし、亀次郎を『呼べる』のが自分だけで、その力を持って、世のため人のために働く事についても受け入れる事はできた。
……けれど。
「あー! もう、ほんっと、このコスプレどうにかなんないのっ!!」
何回『変身』しても慣れない、全身タイツのようなコスプレ姿。
「由真ちゃんは、相変わらず、慣れないねえ……」
心から同情するように言うのは、白いスーツ、ビャッコホワイトこと白梅素子(しらうめ もとこ)。
最初、女性の守護者は由真一人だったので、素子が加わってくれて、由真は本当にうれしかった。素子は、この、守護聖獣管理部門(sacred beast administrative part)略してサバップ(SaBAP)の部長でもある黄金川礼門(こがねがわ れもん)の姉だ。『変身』歴は由真よりも短いはずだったが、適応力が高いのか、あっさりと慣れて、今では決めポーズも堂に入ったものだ。
姉弟にも関わらず、弟の礼門と苗字が違うのは、姉弟の両親が離婚したためらしい。
常識人の素子の加入は由真にとって大いに救いだった。
「そろそろあきらめましょう、黛さん、若はお考えを変えるつもりは無いようですし」
何の慰めにもならない言葉をしゃあしゃあと言うのは青いスーツ、セイリュウブルーの青竹征治(あおたけ せいじ)。
素子の恋人にして、礼門にとっては『じいや』的なポジションの彼は、幼い頃から礼門に仕えていて、性格については嫌というほど把握している。そのせいか、彼を変えようという気持ちはさらさら無いようで、黙って礼門に従っている。
「慣れればけっこう楽しいし、俺、実は憧れてたんだよねえ、ヒーローって」
魅惑のバリトンヴォイスで艷やかに言うものの、赤いヒーロースーツを着用しているせいで、子供にはウケそうだけれど、女性には引かれそうなのは、スザクレッドこと南雲蘇芳(なぐも すおう)。素の彼は職場にファンも多いイケメンだ。
そんな彼が、よもや『変身』して『スザクレッド』になるのだと知ったら幻滅するファンが大量にいそうだ。
「さあさあ、ぼやいてないで、行くよ!」
メンバー最年少にして、実は黄金川財閥会長でもある黄金川礼門(こがねがわ れもん)、ある意味由真にとっては諸悪の根源なのだけれども、彼がリーダーのキリンイエローであり、従わなくてはならない。という事は不本意ではあるが理解していた。
由真、ゲンブブラックはため息をつきながら、魔獣と対峙する。
自然の力を具現化した聖獣と対立する存在『魔獣』人の業から産まれ、人を害する存在。
今回も、核となる人間が取り込まれているが、五人協力する事で、魔獣の力を中和し、救う事ができるのだ。
ジャキ、と、由真は自分の得意な獲物である『弓』を手の中で具現化し、弦をひきしぼり、狙いを定めた。
五人がそれぞれの獲物で魔獣に対して攻撃を加えると、五色の光に包まれ、核になっていた人間が姿を現した。
もう、『恥ずかしい』という感覚はだいぶ麻痺してきているけれど、人前でコレを言うのはまだ無理だな、と、思いながら、黛由真(まゆずみ ゆま)は目の前に現れた自分の相棒、玄武に触れた。
幼い頃から、由真は玄武の姿が見えていた。それが、いつの間にか母から譲られた『聖獣』という存在で、聖獣の守護をもつものは、必然的に魔獣との戦いに身を投じなくてはならない事を知った。
玄武、幼い頃は名前を知らず、その姿から『亀次郎』と名付けた玄武が、実はメスだったという事も、どうでもいいと思っていたし、亀次郎を『呼べる』のが自分だけで、その力を持って、世のため人のために働く事についても受け入れる事はできた。
……けれど。
「あー! もう、ほんっと、このコスプレどうにかなんないのっ!!」
何回『変身』しても慣れない、全身タイツのようなコスプレ姿。
「由真ちゃんは、相変わらず、慣れないねえ……」
心から同情するように言うのは、白いスーツ、ビャッコホワイトこと白梅素子(しらうめ もとこ)。
最初、女性の守護者は由真一人だったので、素子が加わってくれて、由真は本当にうれしかった。素子は、この、守護聖獣管理部門(sacred beast administrative part)略してサバップ(SaBAP)の部長でもある黄金川礼門(こがねがわ れもん)の姉だ。『変身』歴は由真よりも短いはずだったが、適応力が高いのか、あっさりと慣れて、今では決めポーズも堂に入ったものだ。
姉弟にも関わらず、弟の礼門と苗字が違うのは、姉弟の両親が離婚したためらしい。
常識人の素子の加入は由真にとって大いに救いだった。
「そろそろあきらめましょう、黛さん、若はお考えを変えるつもりは無いようですし」
何の慰めにもならない言葉をしゃあしゃあと言うのは青いスーツ、セイリュウブルーの青竹征治(あおたけ せいじ)。
素子の恋人にして、礼門にとっては『じいや』的なポジションの彼は、幼い頃から礼門に仕えていて、性格については嫌というほど把握している。そのせいか、彼を変えようという気持ちはさらさら無いようで、黙って礼門に従っている。
「慣れればけっこう楽しいし、俺、実は憧れてたんだよねえ、ヒーローって」
魅惑のバリトンヴォイスで艷やかに言うものの、赤いヒーロースーツを着用しているせいで、子供にはウケそうだけれど、女性には引かれそうなのは、スザクレッドこと南雲蘇芳(なぐも すおう)。素の彼は職場にファンも多いイケメンだ。
そんな彼が、よもや『変身』して『スザクレッド』になるのだと知ったら幻滅するファンが大量にいそうだ。
「さあさあ、ぼやいてないで、行くよ!」
メンバー最年少にして、実は黄金川財閥会長でもある黄金川礼門(こがねがわ れもん)、ある意味由真にとっては諸悪の根源なのだけれども、彼がリーダーのキリンイエローであり、従わなくてはならない。という事は不本意ではあるが理解していた。
由真、ゲンブブラックはため息をつきながら、魔獣と対峙する。
自然の力を具現化した聖獣と対立する存在『魔獣』人の業から産まれ、人を害する存在。
今回も、核となる人間が取り込まれているが、五人協力する事で、魔獣の力を中和し、救う事ができるのだ。
ジャキ、と、由真は自分の得意な獲物である『弓』を手の中で具現化し、弦をひきしぼり、狙いを定めた。
五人がそれぞれの獲物で魔獣に対して攻撃を加えると、五色の光に包まれ、核になっていた人間が姿を現した。