君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
仕事は仕事、恋は恋
 待ち合わせは、ロードサイドのシアトル系コーヒーショップだった。由真が待ち合わせ場所まで走って行こうとしたら、ルナが帰りがけにハスラーで送ってくれた。

「仕事は仕事、恋は恋、だからね」

 由真が車を降りる時、ルナはそう言って送り出してくれた。

 SaBAPの仕事は、少し特殊だ。ある意味、公務員的でもある。公共の平和を維持しなくてはならない立場、という意味で。

 そのせいか、素子の恋人は征治であるし、ルナはどうも礼門と付き合っているらしい。蘇芳についてはいまひとつ謎だったが、先日の壁紙公開事件(というほど事件でもないけれど)の時のうろたえ方を見る限り、B食の女性スタッフと付き合っているようだ。

 仕事内容が特殊で、パートナーに理解が必要という事を考えると、それは妥当な選択とも言えた。(もちろん、そういった事を考慮に入れて相手を選んでいるわけではないのだろうが)

 由真が『付き合う』事になったのは、完全に外部の人間という事だけでなく、敵対関係にある可能性が残っている。

 けれど。

 ルナも言ったとおり、

『仕事は仕事、恋は恋』

 なのだ。
< 25 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop