君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
「ごめんなさい! 遅れたっ!」

 公園の入り口から、由真が走ってきた。既に変身していて、ゲンブブラックの装束に変わっている。

「よかった、じゃあ早速いきますよ!」

 蘇芳が声をかけ、四人は一斉に散会し、魔獣を囲んだ。
 蘇芳が鉄扇で薙げるだけ薙ぎ、子蛇達の数を減らしたところで、魔獣を囲む五芒星が完成した。

「五獣顕現! 魔獣よ、去れ!」

 礼門が、天頂を指さすと、五芒星の五点それぞれに聖獣の影がゆらりと降り立った。
 五色の光が魔獣を取り囲み、閃光が魔獣の身を焼いた。

「ギャアアアアアア!!!!」

 魔獣が、悲鳴をあげ、全身の外殻がパラパラと崩れ落ちていき、中から人間が現れた。

 人間、緩嫁フミエが倒れ込み、素子が駆け寄って抱き起こした。

「……よかった、生きてます」

 緩嫁は、ぐったりとして、意識を失っているようだが、息はあった。

「津久根病院は千客万来だね」

 ほっとして、礼門が言った。

「先生にはまたぼやかれそうですが……」

 征治が言うと、

「まあ、仕方ない、根本原因を取り除かない限りは」

 蘇芳が答えた。
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