君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
エピローグ
 病院に運び込まれた緩嫁フミエは、少々衰弱はしていたものの、怪我は無く、点滴と検査のみで退院できそうな見込みだった。

 礼門の方も、出血はあったものの、骨や内蔵等には損傷が無く、

『だから、スーツの防御力ってすごいでしょ!』

 と、元気にわめいていた。素子と征治が交互に見舞いに来ているが、ルナが来ない事を不服に感じているようだった。

 ルナ曰く、部長不在の今は、動けません、という事だったが、礼門入院の知らせを聞いて、真っ青になり、倒れそうになった事は、退院後直接ルナの方から言ってもらおうと、素子と由真は言い合っていた。

 ルナとしては、礼門を心配している自分、というのを礼門に知られたくないようなふしがあった。

 誰も居ない病室で、由真はぼんやりとからになったベッドを見ていた。

 藍は、ひどい傷を負っていた。

「黛さん?」

 ふいに、藍に声をかけられて、由真は驚いて立ち上がった。

 病院に運び込まれた時は、本当にひどい傷を負っていた、……はずなのに。

「代ヶ根さん……」

 病室に戻って来た藍は、すっかり回復した様子で、とても元怪我人には見えなかった。
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