婚活女子とイケメン男子の化学反応
7~零士side~
まさかこんな事態になるなんて、想像さえしていなかった。
“ごめんなさい
零士さんとは結婚できません
さようなら”
朝起きたら、そんな書き置きと共に鈴乃が姿を消していた。
「鈴乃!!」
血相を変えて部屋中を探し回るもどこにもいない。
彼女の服も私物もそっくりなくなっていた。
「どうしたの!?」
ただならぬ様子に麻里奈がリビングから飛び出してきた。
「鈴乃が出ていった」
「えっ! どうして?」
「分からない」
麻里奈に鈴乃の書いたメモを見せる。
「本当に心辺りないの?」
「ないよ。今日俺の家族に会うのだって楽しみにしてくれてたし」
「電話は?」
「全く繋がらない」
「そっか……どうしたんだろうね」
「ちょっと鈴乃のアパートに行ってくる」
車のキーを握り玄関へと向かうと、麻里奈が追いかけてきた。
「ねえ、私も行こうか?」
「いいよ。おまえはうちの実家に行っとけよ。昨日、兄貴にメールで事情伝えといたから」
「えっ……そうなの? やだ……大丈夫かな、私。ちゃんと上手く言えるかな。ねえ、英士は私のことなんて言ってた?」
俺の腕を掴みながら、モジモジし始めた麻里奈にちょっとイラッとする。
今はさすがにこいつの世話まで焼いていられない。
「おまえらはしっかり両想いだよ。とにかく、俺もう行くから、後は自分達で上手くやってくれ」
俺は麻里奈にそう言い残し、鈴乃の元へと急いだのだった。