婚活女子とイケメン男子の化学反応
「えっ~と、仙道鈴乃さん。30歳。お相手に求める条件は………明るくて、包容力があって、笑顔の素敵な男性ですね。お仕事は青年実業家。お年の方は…4つ年下??」
私の書いたアンケート用紙を見て、スタッフの女性が顔を上げた。
「あの、仙道様。年齢は必ず4つ年下の方でなければダメなんでしょうか?」
キョトンとするスタッフに、私は笑顔で「はい」と頷く。
入会金無料だと押し切られ、断り切れずに入会してしまった私のささやかな抵抗だ。
こんな狭い条件を満たせる男性なんて、そうそういないだろうし、一カ月くらい様子を見て、申し訳ないけれど退会するつもりだった。
「承知致しました。では、仙道様の婚活を全力でサポートさせて頂きます」
「あ、はい。宜しくお願いします」
私はお辞儀をして、立ち上がる。
最後にプロフィール写真を撮って、初回の手続きは終了した。
「仙道様、次回は住民票をお持ち下さい。それと、身元の簡単な審査を行わさせて頂くこともありますがご了承下さい。わが社は他社さんよりもちょっと厳重でして」
「は、はい。分かりました」
私は彼女の言葉に頷いて、結婚相談所を後にした。
…………………
そして、一週間後。
結婚相談所から、まさかの連絡が来た。
『仙道様の条件に合う方が見つかりました!』
『えっ』
思わず言葉を失う。
こういう場合の想定を全くしていなかったのだ。
『青年実業家で4つ年下の方ですよ。とりあえずお会いになってみませんか?』
『あっ………えっと、そうです………ね』
どうしよう。
お見合いなんて、全然考えていなかったのに。
でも……。
“仙道さん。早く幸せになって下さい”
倉本さんの顔が頭に浮かぶ。
これは、いいきっかけなのかもしれない。
新しい恋をして、幸せな結婚をする。
これが前を向くということだ。
それに、案外会ってみたら、素敵な人かもしれないし。
『分かりました。会ってみます』
覚悟を決めて答えると、スタッフから日時が告げられた。
『では、明日の午前11時に当社までお越し下さい』
こうして、私の婚活は再びスタートしたのだった。