シェアハウス
※※※



 アルバイト先であるファミレスの更衣室で、壁にもたれ掛かりながら携帯を弄っている香澄。そんな香澄は、私にチラリと視線を向けるとおもむろに口を開いた。


「……で、新しい家はどうなの?」


『それ、絶対に怪しいよ。やめときな』


 ネットで見つけたシェアハウス募集サイトを見せた私に、香澄は以前そう言って反対をしていた。

 シフトが被らなかった事もあり、それから香澄と会うのは約二週間ぶり。
 その間に、勝手に入居を決めて引っ越しまでしてしまった私に、『信じらんないっ! 私、止めたのに!』と怒りながらも、今もこうして私が着替えるのを更衣室で待っていてくれている。

 本当に心配してくれているんだな、と思いながら、私は制服のボタンを留めて口を開いた。


「うん……。静香さんて言うんだけどね、凄く綺麗で優しいよ」

「本当に、家賃3万なんだ?」

「そうなの。未だに信じられないけど……凄く助かる」


 大学に通いながら週4日のアルバイトに出ているだけの私には、家賃3万は本当に有り難かった。

 同棲なんて、するんじゃなかった……。そんな後悔をしていた時、たまたま見つけたあの募集サイト。
 即決して、本当に良かったと思う。

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