泣けない少女
「優愛、ママの様子はどうだった?」

「えとね、泣いてた」

優愛は自分が見たままの事実を述べた。それを聞いた祖母はため息を吐き、出来たての料理が並んでいるテーブルの前にそっと腰掛けた。

「優愛も座って」

「はーい」

その言葉に素直に頷き、祖母の隣に座る。目の前に置かれてる料理は当たり前のように母の分はない。優里が癇癪を起こすのは日常茶飯事である故であろう。

「さてと、いただきます」

「いただきまーす!」

両手を合わせた後、箸を持って料理を口に運ぶ。

「美味しいかい?」

「うん!美味しい!」

祖母にそう聞かれ元気よく返事をした優愛は、味噌汁を啜った後、卵焼きを口に入れご飯と一緒に食べた。

「野菜もちゃんと食べるんだよ?」

「うん!」

目の前に並べられているほうれん草のお浸しに箸を伸ばし、それも口にする。そのまま夕食は滞りなく終わった。
< 35 / 35 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop