【短編】手のひらを、太陽に…
「4年前…病気がわかったとき、それはもう絶望のどん底にたたき落とされた気分だった。ひどく落ち込んで、食事も喉を通らなくて、どうせいつか死ぬなら…って、何度も自殺を試みたんだよ。」

 葵は窓の外を見ながら淡々と話をした。志音はただ、黙って聞いていた。

「でもね、そのうちにとてもお姉ちゃんを傷つけて悲しませていることに気付いたの。…こんなに妹のことを想ってくれるお姉ちゃんに申し訳ないって思った。それから、その頃にお姉ちゃんの勧めで洸くんと文通することになったの。私高校にも行けない体だったから、おねえちゃんがお友達として洸くんを紹介してくれたの。」

 そうして公英と洸に支えられた葵は治療に専念し、1年前、寛解という、もう血液の中に病原体は今のところ見当たらなくなりました、という診断結果をもらって、退院することができたという。

「だけど、退院生活もつかの間、たった2ヵ月で高熱を出して病院へ逆戻りだよ。」

 葵は苦笑いを浮かべた。

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