【短編】手のひらを、太陽に…
第2章 〜紫苑〜

後悔

 葵が死んだのは、名古屋へ行ってからわずか1週間後だった。




 志音は、ひたすら病院へ向かって走っていた。

 走りながら頭の中で言い聞かせていた。

 ―葵が死ぬなんて、嘘だ。あんなに元気だったのに。病気治って退院したはずなのに…!
 葵が死んだなんて、嘘だ。


 病院の玄関は夕日に照らされ、優しいオレンジ色に光っていた。

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