【短編】手のひらを、太陽に…
 霊安室から出てきた洸は、目が赤かった。階段を上がると、ロビーに公英が座っていた。

「一週間前に葵を抱いたときは、とても温かかったのにな…。」

 そう言いながら、洸は公英の隣に座った。辺りは薄暗く、声が響いた。

「…俺…。間違ってたなぁ。葵のあんな嬉しそうな笑顔が見れるなら、もっと早く告白して付き合うべきだった。怖い、支えられないなんて言って逃げて、本当俺、最低。」

「そうだねぇ…情けない。死んでから気付くなんて。」

 肩を落とした洸に追い打ちをかけるように、公英は言った。

「でもさぁ…。後悔は、誰にでもある。でも間違ってはいないと思う。私がああやって洸の背中押さなければ、葵のあんな嬉しそうな笑顔は二度と見られなかったんだよ。洸は1週間だけでも、彼女に安心を与えられたと思うよ。」

 洸は黙って聞いていた。

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