【短編】手のひらを、太陽に…
 それから3日間、志音は施設の自室に引きこもっていた。
 食事は自室に持ってきてもらい、トイレは人の目を盗んで行き来していた。

 3日間、葵が生きていたときのことを思い返していた。

 最初は、葵の笑顔や楽しそうな表情、明るい声がどんどん思い出されていった。

 そのうちに、出会ったときのことを思い出した。

「あなたが死んだら!私が悲しい。」

 改めて思った。あの言葉は、どういう意味で言ったのだろう、と。

 3日後、公英が訪れた。
 志音が施設で引きこもっていることは知らなかったが、病院で志音が泣き崩れていたことをずっと気にかけていたのである。しかし公英は葬儀の準備や後片付けに追われており、今までなかなか志音と話す機会が作れなかった。

 公英は志音の部屋の扉をノックし、声をかけた。志音は公英が来たことがわかると扉を開け、公英を部屋へと招き入れた。

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