恋し、挑みし、闘へ乙女
アイツら龍弥を……いや、“も”と言った、ということは……乙女は思い青くなる。
私を亡き者にするつもりだ!

どうしよう……ズキンズキンとする頭を捻りながら「まず龍弥に知らせなきゃ」と呟きドアをノックする。

すぐに反応があり、「どうした?」と龍弥が顔を出す。
乙女はシッと口元に人差し指で置き、クイッと顎で『おいで』と合図をする。

何事だと怪訝な顔をする龍弥を暖炉の側に連れて行く。

『――それで、決行は?』

声が一段と低くなり聞こえなくなる。
その後、バタンとドアが閉まる音が聞こえた。どうやら男たちが部屋を出て行ったようだ。

「聞こえた?」
「ああ」

龍弥が応える。

「今の声は俺の雇い主、蘭丸の声だった」
「もう一人は?」
「知らない。聞き覚えのない声だ」
「私たち殺されるみたい」

はぁ? 龍弥が間抜けな顔になる。

「さっき、もう一人の男がそう指示をしていたの」
「俺もか?」
「そう、全てが終わったらと言っていたから、私を亡き者してからだと思うけど」
「マジか」

龍弥は額を押さえ天井を仰ぐ。

「永瀬蘭丸の奴、相当なワルだと思っていたが、それ以上だったな」

「根性腐ってやがる」と龍弥はケッと吐き捨てる。
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