恋し、挑みし、闘へ乙女
「蘭丸じゃない男が“御前”って言ったの、あの二人の陰に大物がいるみたい」
「御前?」龍弥が首を捻る。
「ねぇ、とにかく、ここから逃げた方がいいと思わない?」
「うーん」と龍弥が唸る。
「分かった。俺の仕事はお前を見張ることだけだ。『携帯を貸すな』とは言われていない」
「ほら」と乙女に自分の携帯を投げて寄越す。
「それで助けを呼べ。それなら俺が逃したことにならず、返金しなくてもいい」
ある意味仕事に忠実だが……徹底した守銭奴だな、と乙女は改めて感心する。
「助けが来る前に俺は逃げる。お前、義理と人情に厚いよな?」
「言わないよ。貴方のことは」
「サンキュー」
乙女は早速覚えている電話番号に電話をする。
何度もかけている國光の番号だ。
《もしもし……》
電話の向こうから警戒する声が聞こえた。
見知らぬ番号だったからだろう。
「國光さん?」
《その声は、乙女様!》
國光が声を上げる。
途端に電話の向こうでざわめきが起こる。
「至急、国家自衛隊に連絡して、化け物屋敷と呼ばれている鏡夜露卿のお屋敷に向かうよう言って下さい。私はそこにいます」
「御前?」龍弥が首を捻る。
「ねぇ、とにかく、ここから逃げた方がいいと思わない?」
「うーん」と龍弥が唸る。
「分かった。俺の仕事はお前を見張ることだけだ。『携帯を貸すな』とは言われていない」
「ほら」と乙女に自分の携帯を投げて寄越す。
「それで助けを呼べ。それなら俺が逃したことにならず、返金しなくてもいい」
ある意味仕事に忠実だが……徹底した守銭奴だな、と乙女は改めて感心する。
「助けが来る前に俺は逃げる。お前、義理と人情に厚いよな?」
「言わないよ。貴方のことは」
「サンキュー」
乙女は早速覚えている電話番号に電話をする。
何度もかけている國光の番号だ。
《もしもし……》
電話の向こうから警戒する声が聞こえた。
見知らぬ番号だったからだろう。
「國光さん?」
《その声は、乙女様!》
國光が声を上げる。
途端に電話の向こうでざわめきが起こる。
「至急、国家自衛隊に連絡して、化け物屋敷と呼ばれている鏡夜露卿のお屋敷に向かうよう言って下さい。私はそこにいます」