恋し、挑みし、闘へ乙女
「貴女の小説に必要とあらば日を改めて答えるわ。でも、今はダメ」
ションボリと肩を落とす乙女だが、ハッと思い直す。
吹雪はこう見えて仕事一筋人間だ。仕事に関することになら我が身を削ってでも協力は惜しまない。
「了解しました。速攻でプロットを仕上げてお持ちします」
乙女が敬礼する勢いで言うと吹雪がニヤリと笑う。
「ええ、素敵なプロットをお待ちしているわ」
『よし!』と心の中でガッツポーズを取り、乙女が食事を進めようと小鉢に手を伸ばしたところで吹雪が訊ねる。
「ところで、貴女、騙されてあのお屋敷に行ったのよね?」
「そうなんですよ」と乙女は口を尖らせる。
「私、もう少しで不貞女になるところでした」
「それ、糸川公爵の奥方、糸子夫人が関わっているって本当?」
どうして知っているのだろうと思い、そうだったと乙女は龍弥を思い出す。
「あの声は確かに糸子様でした。でも……糸子様はそれを否定されたんです。おかしな話ですよね?」
たった一度会った相手に嫌がらせを受ける覚えはない。
「乙女は彼女の噂話、知ってる?」
ミミから聞いたスキャンダラスな内容だろうと乙女は頷く。
ションボリと肩を落とす乙女だが、ハッと思い直す。
吹雪はこう見えて仕事一筋人間だ。仕事に関することになら我が身を削ってでも協力は惜しまない。
「了解しました。速攻でプロットを仕上げてお持ちします」
乙女が敬礼する勢いで言うと吹雪がニヤリと笑う。
「ええ、素敵なプロットをお待ちしているわ」
『よし!』と心の中でガッツポーズを取り、乙女が食事を進めようと小鉢に手を伸ばしたところで吹雪が訊ねる。
「ところで、貴女、騙されてあのお屋敷に行ったのよね?」
「そうなんですよ」と乙女は口を尖らせる。
「私、もう少しで不貞女になるところでした」
「それ、糸川公爵の奥方、糸子夫人が関わっているって本当?」
どうして知っているのだろうと思い、そうだったと乙女は龍弥を思い出す。
「あの声は確かに糸子様でした。でも……糸子様はそれを否定されたんです。おかしな話ですよね?」
たった一度会った相手に嫌がらせを受ける覚えはない。
「乙女は彼女の噂話、知ってる?」
ミミから聞いたスキャンダラスな内容だろうと乙女は頷く。