恋し、挑みし、闘へ乙女
「察しがいいわね。そう……でも、それは最初の頃だけ。いろいろと調べるうちに黒棘先の悪事が露見してきたの」

吹雪がギリッと奥歯を噛む。

「それで分かったの。不幸を招いたのは国家ではなく黒棘先だということが！」

婚ピューターの改ざん云々のことだろうと乙女は察する。

「だから！」といきなり吹雪が身を乗り出し乙女の手を握り締める。

「梅大路綾鷹に会わせて！　彼なら私たちの事情を理解して、あいつを成敗してくれると思うの。それに……情報を交換することでさらに分かることがあると思うの」

真剣な眼差しが乙女を見つめる。
乙女は黙って深く頷く。

「編集長の言伝、綾鷹様にお伝えします。私だって黒棘先は許せないもの！」

鼻息荒く言う乙女に吹雪の相互が崩れる。

「やっぱり、黄桜編集長はそんな風に太々しく笑っている方が似合います」
「まぁ！　私のどこが太々しいっていうの？」

二人の間にいつもの調子が戻る。

「乙女……本当にごめんなさい！」

なのに吹雪がいきなり頭を深々と下げる。

「なっ何ですか、いきなり！」
「糸子のこと許してやって」

ああ、そうだった、と乙女は茶屋の一件を思い出す。

「いったいどういうことだったのですか？　今までの話から言えば、茶屋の一件はご存じなかったのですよね？」
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