恋し、挑みし、闘へ乙女
「別に透視能力があるとかじゃないですよ。だって、この前の誘拐も首謀者は貴女方家族なんでしょう?」
ここでようやく蘭子がホッと息を吐き、開き直る。
「そうよ、綾鷹様とのお見合いをぶち壊すために仕組んだのよ。でも……」
クッと片唇を上げた蘭子が醜く微笑む。
「私たちのバックにはもっと大物がいるの」
「――例えば……鏡夜露卿とか?」
「えっ!」と蘭子が目も口も大きく丸く開いた。かなり驚いているようだ。
「鏡卿は生きていた。そして、匿ったのは黒棘先夜支路。貴女のお爺様……ってとこですかね?」
まさかそこまで調べられていたとは思わなかった蘭子は、「どうしてそれを!」と思わず叫んだ。
「やっぱり」と乙女は深く頷く。
「作家ってね、“もしも話”が好きなんです。そして、いろいろ妄想するんです。ヤマ勘でしたが当たって嬉しいです」
綾鷹が聞いたら、『全部また聞きじゃないか!』と叱られそうだが、蘭子はそんなことは知らない。フェイクに乗ってしまった、と悔しそうに唇を噛む。その横で乙女はうーんと伸びをする。
「あのお屋敷ならまだ時間が掛かりそうですね。昨日、プロットを練っていて寝不足なんです。ちょっと一眠りさせて頂きますね」
乙女はそう言うと窓の方を向き目を閉じる。そして、考える。
逃げる? 逃げない? だが、今逃げたとしても鏡卿を放っておくわけにはいかない。どうすれば……と。
ここでようやく蘭子がホッと息を吐き、開き直る。
「そうよ、綾鷹様とのお見合いをぶち壊すために仕組んだのよ。でも……」
クッと片唇を上げた蘭子が醜く微笑む。
「私たちのバックにはもっと大物がいるの」
「――例えば……鏡夜露卿とか?」
「えっ!」と蘭子が目も口も大きく丸く開いた。かなり驚いているようだ。
「鏡卿は生きていた。そして、匿ったのは黒棘先夜支路。貴女のお爺様……ってとこですかね?」
まさかそこまで調べられていたとは思わなかった蘭子は、「どうしてそれを!」と思わず叫んだ。
「やっぱり」と乙女は深く頷く。
「作家ってね、“もしも話”が好きなんです。そして、いろいろ妄想するんです。ヤマ勘でしたが当たって嬉しいです」
綾鷹が聞いたら、『全部また聞きじゃないか!』と叱られそうだが、蘭子はそんなことは知らない。フェイクに乗ってしまった、と悔しそうに唇を噛む。その横で乙女はうーんと伸びをする。
「あのお屋敷ならまだ時間が掛かりそうですね。昨日、プロットを練っていて寝不足なんです。ちょっと一眠りさせて頂きますね」
乙女はそう言うと窓の方を向き目を閉じる。そして、考える。
逃げる? 逃げない? だが、今逃げたとしても鏡卿を放っておくわけにはいかない。どうすれば……と。