恋し、挑みし、闘へ乙女
「――そんなことミミも分かっているだろうに、色々したところで中身は私だ……」

殿方が好むのは姉のような女性だ。そして、乙女は自分がその真逆の女だと知っていた。

女々は“ミス和之国”に選ばれたほど器量好しで頭も切れた。国中が女々の結婚相手を予測したほどだった。噂では賭けの対象になり、その額は相当なものだったらしい。

「でも、お姉様のお相手は誰も予測できなかった」

乙女の口がふふっと思い出し笑いを浮かべる。

お相手として選ばれたのは竹之内家の長子、風間という男だった。公爵家の生まれながら国家職員にならず実業家になった変わり種だ。

これには世間も驚いたが、一番驚いたのは桜小路家の面々だった。しかし、風間という男、変わり種というだけではなく、先見の明を持つ優秀な男だった。結婚して十年。今では国家を代表する大企業家になっていた。

「おまけに、お姉様のことを溺愛しているし……」

二人の間には娘と息子、二人の可愛い子供がいる。

「本当、幸せを絵に描いたような夫婦だわ」

乙女もこの結婚ばかりは、よくぞ女々に合った相手を選んだ、と婚ピューターを褒め称えたほどだった。
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