恋し、挑みし、闘へ乙女
「そこで私たちは彼らの裏の裏をかき、乙女さんの相手を私、梅大路綾鷹にしたのです」

「でも……」と綾鷹が爽やかに笑む。

「部下によると、元々、婚ピューターが選んだ乙女さんの相手は私だったようです」

「嘘っ!」と乙女が目を丸くすると綾鷹がしたり顔になる。

「だから、何はともあれ、これは正式な見合いなのです」
「それを敵に知らしめるため、私も登場したのです。彼の後方支援として」

現王のお出ましだ、知らしめるも何も、誰も逆らえない。従わざる得ないだろう。だが、乙女は違った。

「あのですね、ここまでハチャメチャな話になっているのでしたら、お見合い自体、無効にしてしまうというのは……」

「出来ません!」と綾鷹がキッパリ言うのと同時に、一葉が「何を言うの!」と叫ぶ。

「この見合いを成立させなければ、陛下の命が危ぶまれます」
「とてもいいお話じゃない。何の文句があるの!」

二人の言い分に乙女は憤りを感じる。

「お母様、文句はあります。言っていいのですね!」

そう宣言して、乙女は鼻息荒く言う。
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