恋し、挑みし、闘へ乙女
「これは何ですか?」
美しい花の細工が施された小箱を乙女はマジマジと見る。
「開けてみるといい」
ほら受け取って、と乙女の掌に小箱を置く。
乙女が跳ね上げ式の蓋を開けると、中に銀色に輝く指輪が二個入っていた。
「ペアリングだ。作らせた」と言いながら綾鷹が小さい方の指輪を手にして、乙女の右手薬指にそれを嵌める。
婚約指環とも結婚指輪とも違う、少しカジュアルなその指輪にはツタの模様が刻まれ、二箇所に赤と青の宝石が埋め込まれていた。
「私が見合いをしたことは多くの者が知っている。このカップルリングでそれを確固たるものにする」
指輪の嵌まった薬指をひと撫でして、「さぁ、私にも嵌めておくれ」と綾鷹が右手を差し出す。
「それで? 黒棘先伯爵は月華の君の廃位計画を破棄して、貴方と蘭子嬢との結婚を諦めるというのですか?」
フンと乙女は鼻を鳴らしながら綾鷹の指に指輪を嵌める。
「何を怒っているのだ? デザインが気に入らないのか? なら、改めて一緒に……」
「要りません!」と間髪入れず乙女が言う。
「そんな……気持ちが入っていない指輪なんて……」
クッと綾鷹が笑いを浮かべる。
「乙女……何を勘違いしているのだ」
そして、乙女の顎に手を添え上を向かせる。
「まだ分からないのかい? 私は君を想っている。確固なものにするのは黒棘先の件もあるが、君を他の男たちから守るためだ。君は魅力的だからね」
美しい花の細工が施された小箱を乙女はマジマジと見る。
「開けてみるといい」
ほら受け取って、と乙女の掌に小箱を置く。
乙女が跳ね上げ式の蓋を開けると、中に銀色に輝く指輪が二個入っていた。
「ペアリングだ。作らせた」と言いながら綾鷹が小さい方の指輪を手にして、乙女の右手薬指にそれを嵌める。
婚約指環とも結婚指輪とも違う、少しカジュアルなその指輪にはツタの模様が刻まれ、二箇所に赤と青の宝石が埋め込まれていた。
「私が見合いをしたことは多くの者が知っている。このカップルリングでそれを確固たるものにする」
指輪の嵌まった薬指をひと撫でして、「さぁ、私にも嵌めておくれ」と綾鷹が右手を差し出す。
「それで? 黒棘先伯爵は月華の君の廃位計画を破棄して、貴方と蘭子嬢との結婚を諦めるというのですか?」
フンと乙女は鼻を鳴らしながら綾鷹の指に指輪を嵌める。
「何を怒っているのだ? デザインが気に入らないのか? なら、改めて一緒に……」
「要りません!」と間髪入れず乙女が言う。
「そんな……気持ちが入っていない指輪なんて……」
クッと綾鷹が笑いを浮かべる。
「乙女……何を勘違いしているのだ」
そして、乙女の顎に手を添え上を向かせる。
「まだ分からないのかい? 私は君を想っている。確固なものにするのは黒棘先の件もあるが、君を他の男たちから守るためだ。君は魅力的だからね」