恋し、挑みし、闘へ乙女
悪戯っぽく輝く綾鷹の瞳に、やっぱり策士だと乙女が憮然としていると、辺りがザワザワとざわめき出す。
「ねぇ、あの方が綾鷹様の?」
「ご覧なさいあのペアの指輪」
どうやら、目ざとい女人たちは早くもペアリングに気付いたようだ。
二人が揃って建物内に足を踏み入れた時には、既に乙女の存在は皆の知るところだった。
「綾鷹! ようこそ、久し振りだねぇ」
両手を広げ近寄ってきたのは、綾鷹と同年代ぽいが女性のような甘いフェイスの男性だった。
「上ノ条、久し振りだな」
このお方が、と二人が抱き合うのを隣で見つめながら、乙女はイケない妄想を抱く。
「まるで……ボーイズラブの世界みたい」
出版社『蒼い炎』は乙女の書くような男女の恋愛小説の他、同性同士の愛を描いた小説などもある。勿論、それら全部、禁書と言われるものだが、マニアと呼ばれる人たちに絶大な人気を密かに誇っていた。
乙女が興味津々の目で二人を見ていると、「そうそう、紹介しよう」と上ノ条から離れた綾鷹が乙女の肩を抱く。
「彼女が僕の見合い相手の桜小路乙女だ。そして、彼が本日のホスト、上ノ条輝明。旧知の仲と言っていいだろう」
「ねぇ、あの方が綾鷹様の?」
「ご覧なさいあのペアの指輪」
どうやら、目ざとい女人たちは早くもペアリングに気付いたようだ。
二人が揃って建物内に足を踏み入れた時には、既に乙女の存在は皆の知るところだった。
「綾鷹! ようこそ、久し振りだねぇ」
両手を広げ近寄ってきたのは、綾鷹と同年代ぽいが女性のような甘いフェイスの男性だった。
「上ノ条、久し振りだな」
このお方が、と二人が抱き合うのを隣で見つめながら、乙女はイケない妄想を抱く。
「まるで……ボーイズラブの世界みたい」
出版社『蒼い炎』は乙女の書くような男女の恋愛小説の他、同性同士の愛を描いた小説などもある。勿論、それら全部、禁書と言われるものだが、マニアと呼ばれる人たちに絶大な人気を密かに誇っていた。
乙女が興味津々の目で二人を見ていると、「そうそう、紹介しよう」と上ノ条から離れた綾鷹が乙女の肩を抱く。
「彼女が僕の見合い相手の桜小路乙女だ。そして、彼が本日のホスト、上ノ条輝明。旧知の仲と言っていいだろう」